離婚慰謝料平均相場は50~500万円程度ですが・・・
離婚時の慰謝料である離婚慰謝料は、当事者間の話し合いで決定されていることが多くなっています。
そのため、支払われている慰謝料の実体は、十分には把握されていません。
日本国内での離婚の約9割近くが、協議離婚です。
したがって、ほとんどの離婚は家庭裁判所を通さないで慰謝料などの離婚条件を定めています。
そのため、離婚の実態がどうなっているのかはよく分かっていないのです。
離婚原因となる行為の回数や程度が大きくなるにつれて慰謝料の額が高くなる
離婚慰謝料については、慰謝料の支払い義務者の資力、婚姻期間の長短、離婚原因となる不法行為の内容などをみて、総合的にそれぞれの要因をみて定められています。
一般的な傾向としては、離婚原因となる行為の回数や程度が大きくなるにつれて慰謝料の額が高くなる、婚姻期間が長いほど慰謝料の額が高くなるといった傾向があるようです。
一般的な離婚慰謝料の範囲としては50~500万円程度、その中心となる相場としては200~300万円程度といわれています。
実際に慰謝料を請求できるケースとしては、まず、浮気・不倫をした場合が挙げられます。
婚姻相手が他の人と浮気・不倫をした場合は不貞行為にあたり、大きな精神的苦痛を受けます。
そのため、慰謝料を請求することが可能なケースとなります。
このように浮気・不倫といった不貞行為を行った場合の慰謝料は100~500万円程度といわれています。
この金額の概要としては、まず、基準額を120万円程度とします。
そして、実際の不貞行為の回数や期間、不貞に至った経緯、その不貞行為によって受けた配偶者の精神的・肉体的なダメージなどを考慮して定められます。
この配偶者の精神的・肉体的ダメージの具体例としては、うつになった、ショックのあまり自殺をはかった、妻が妊娠中に浮気したため、その心労によって流産・早産したなどが挙げられます。
次に、身体的・精神的な暴力(DV)を受けた場合が挙げられます。
夫婦はお互いに対等で尊重しあうべき存在です。
そのため、相手方から暴力(DV)といった行為があった場合は慰謝料を請求できます。
その具体例としては、妻を対等な存在としない夫から精神的に侮辱され続けた、殴る蹴るの身体的暴力を受けた、言葉の暴力を受けたなどがあります。
このようなDVを受けた場合の慰謝料の相場は、50~500万円程度といわれています。この金額の概要としては、身体的・精神的暴力の状態、このようなDVが始まるまでの経緯や回数、さらに、それによるケガや障害、後遺症の程度などを考慮し、金額が定められます。
次に、悪意の遺棄を受けた場合が挙げられます。
悪意の遺棄とは、簡単にいうと、相手が困るとわかっていても、わざと放置しておくことをいいます。
夫婦は同居し、経済的にも家計を共にして、お互いに助け合う義務があります。
しかし、悪意の遺棄とは、それに反する行為のことをいいます。
この場合にも慰謝料を請求でき、その具体例としては、夫が不倫相手と一緒に住んでいて妻子と同居しない、夫が妻に生活費を渡さない、親族との折り合い、姑との折り合いが悪いという理由で実家に帰ったままでいる、健康な夫が働かない、専業主婦の妻が家事をしない、共働きの夫婦の夫が家事を分担しない、といったものが挙げられます。
この悪意の遺棄の場合の慰謝料の相場は、50~300万円程度となっています。
この金額の概要としては、まず、基準額を100万円程度としています。
そして、生活費を負担しない事情、同居を拒む事情、夫婦間の助け合いをしない事情等のそれぞれの内容を考慮して、慰謝料の金額が定められます。
「離婚に至る記録」を事細かに残すことが多くの離婚慰謝料を獲得できるコツ
このように離婚慰謝料は、ケースによって金額にかなり差があり、さらに個々の事情によっても差が出ることから、一概にこのくらいの慰謝料が請求できるとはいえません。
ただ、いずれにしても「離婚に至る記録」を事細かに残すことが多くの離婚慰謝料を獲得できるコツですので、なるべく多くの記録・証拠を集めておくようにしましょう。