離婚条件を夫婦の話し合いで決定すればいいの???
協議離婚では、養育費、面会交流、親権・監護権、財産分与、慰謝料、年金分割などを代表的な離婚条件として定めることが必要となります。
協議離婚では、これらの離婚条件を夫婦の話し合いで決定することになります。
慰謝料は?
まず、慰謝料は、相手に不貞などのはっきりした離婚原因があった場合に発生します。
その慰謝料の相場は、100~300万円が相場となっており、ニュース等で見かける欧米のセレブのような億単位の慰謝料というのは、日本では法律的にまずありえないそうです。
養育費は?
次に、養育費とは、基本的に子供が成人して大人として自立できる年齢になるまで必要な費用のことです。
この養育費は、親権者として子供を実際に養育している側に支払われるのが普通となっています。
また、この養育費は、子供と親子関係があることによって発生します。
そのため、子供を認知した場合、養子縁組をした場合というような時には、元夫婦でなかったり、血のつながりがなくても発生します。
養育費は、毎月の定期払いが基本形となりますが、この養育費をいくらに定めるかということについては、法律で定められた金額はありません。
父母の話し合いによって、それぞれの収入、資産などを踏まえて、決定することができます。
夫婦間で養育費を決められない場合・もめたら?
もし、夫婦間で養育費を決められない場合、家庭裁判所の調停または審判の制度を利用して定めることになり、家庭裁判所の実務では、東京と大阪の裁判官で作成した養育費算定表が利用されています。
この養育費算定表は裁判所のホームページに情報として掲載されており、広く一般に利用されていることから、家庭裁判所を利用しない協議離婚においても、参考資料として夫婦の話し合い時に利用されています。
また、この養育費算定表の養育費の月額は低いともいわれています。
そのため、実際の夫婦の協議では、婚姻期間中の生活水準の実態も踏まえ、養育費算定表より高い水準の養育費を定める夫婦も多くいるようです。
親権は?
離婚する夫婦の間に未成年の子供がいる場合、そのすべての未成年の子供について、夫婦のどちらか一方側を親権者に指定しますが、これは協議離婚の届出において必須事項となっています。
そのため、親権を夫婦の話し合いで決められなければ、協議離婚はできません。
もし、夫婦間の協議で親権者を決められない時は、家庭裁判所で離婚調停を申し立てるようになります。
そして、その調停によって親権者を定めることになるのです。
このように離婚手続きにおいて、必須事項なのは、この未成年の子供の親権者の指定です。
したがって、夫婦間に争いがあって親権者の指定ができないときは、容易に離婚できないことになります。
また、離婚する夫婦の間に感情的な摩擦がある場合、この親権者の指定が、その他の離婚条件を定める全過程において、駆け引き材料となってしまうことも多くあるようです。
また、親権者が監護養育することが一般的となっていますが、夫婦間に合意がある時は「分属」という親権者と監護者を別々にするということもあるようです。
ただ、この場合、離婚後も父母が共同して子供を育てる形となります。
そのため、父母の関係が良好でない場合、子供の監護方針などを巡って争いが起きてしまう可能性があります。
したがって、この「分属」は家庭裁判所における実務では、基本的には認めない方向であるようです。
つまり、「分属」は基本、何の制約も受けない協議離婚でのみ成立するものであるといえるでしょう。
また、離婚した後に親権者を変更するときは、家庭裁判所における手続きが必要となります。
これは、親権者を途中で変更することは子供にとって影響が大きいため、家庭裁判所が後見的な立場で親権者の指定に関与する仕組みとなっているからです。
ただ、監護者を変更することは、離婚後でも父母の話し合いで決められますので注意しましょう。