家庭裁判所が特別に審判を下す離婚の形式を審判離婚
「家庭裁判所は当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため、離婚、離縁、その他必要な審判をすることができる」
ということが、家事審判法24条に定められています。
この法律により、裁判官は調停がたとえ不成立になったとしても、職権をもって離婚を言い渡すことができるのですが、このように家庭裁判所が特別に審判を下す離婚の形式を審判離婚といいます。
離婚調停で話し合いがまとまらず、裁判官が調停委員の意見を聞いたうえで「これは審判離婚に妥当」と判断した場合、審判離婚に至ります。
このように審判離婚につながるケースとして、親権の争いによって離婚調停が成立せず、裁判所の審判が下されるというケースがあります。
この親権者の指定という事項は、家事審判法における審判事項に該当します。
そのため、この親権に関する調停が不成立になると、自動的に審判の手続きに進むことになります。
しかし、もしこの審判を希望しないという場合には、取り下げることも可能となっています。
この親権の審判にあたっては、まず家庭裁判所の調査官が事実調査を行います。
この事実調査によって、子供をめぐる家庭環境を調べ、さらに当事者に対する審理も行った上で審判が下されるようになります。
この審判の目的は、あくまで子供への福祉です。
そのため、当事者の親を満足させるのではなく、あくまで子供が健やかに成長できるかを主体として、裁判所が審判を下すようになります。
このような裁判所の審判を受け、親権者とならなかった方の親においても、子供の親としての責任を果たす義務があります。
そのため、親権者とならず、子供と同居していない方の親は、他方の親に対して養育費を支払わなければなりません。
この養育費とは、子供の養育にかかる費用のことであり、子供を養育監護している親が、養育していない親に対して支払いを請求することができます。
また、この養育費は原則として月々払いであり、離婚時に一括払いをすることはできないとされています。
そのため、離婚後確実に相手から養育費の支払いを受けられるかどうか不安なので一括払いしてほしいという要望があったとしても、そのような扱いはできないので注意が必要です。
ただし、養育費を2ヶ月ごとに支払うようにしたり、ボーナス時に金額を増額したりということは可能なようです。
この養育費ですが、父親と母親それぞれの収入状況によって金額が決定します。
そのため、養育費の支払いを受ける側の収入が高くなればなるほど養育費の金額は低くなり、支払う側の収入が高くなればなるほど、養育費の金額は高くなります。
例えば、養育費の支払いをする父親が年収400万円のサラリーマンで、3歳の子供が1人おり、母親の年収が100万円程度というケースでは、養育費の金額は毎月2~4万円程度となります。
しかし、もし父親が年収600万円のサラリーマンであったとすると、養育費の金額は毎月4~6万円程度となるのです。
また、子供の年齢が上がったり、人数が増えたりしても養育費は上がり、さらに、養育費を支払う側が個人事業主である場合においても養育費は上がります。
このような養育費の相場は家庭裁判所が決めており、この養育費の基準は養育費算定表に定められています。
家庭裁判所で養育費の審理をするという場合では、この養育費算定表を用いて計算するようになります。
また、この養育費算定表は家庭裁判所のホームページ上で公開されています。
その他、離婚時に相手に不貞などのはっきりした離婚原因があった場合には、慰謝料が発生しますが、その相場は100~300万円程度といわれています。
ニュース等では、欧米のセレブ等が離婚時に億単位の慰謝料を獲得したなどと報じられる場合がありますが、日本では法律の関係上、そのような高額な慰謝料は基本的にありえないそうです。