取り決め後の事情によっては減額や増額を求めることが可能??
離婚時に子供がいる場合、親権をどちらが持つかを必ず決めるようになりますが、その際に、養育費の取り決めをしている方も多いと思われます。
しかし、この養育費について、取り決めた後にも様々な考えを巡らせてしまい、将来の生活が不安だと感じている方もいると思います。
ただ、実はこの養育費は、取り決め後の事情によっては、その金額の減額や増額を求めることが可能なのです。
しかし、一度取り決められた養育費の金額を変更することは簡単なことではありませんので、注意しましょう。
養育費の増額請求が認められる3つの条件
まず、養育費の増額請求が認められる条件としては、次のような3つの条件が考えられます。
まず1つ目は、養育費を受け取る側の年収が下がった場合です。
例えば、養育費を受け取っている方が病気になってしまったり、失業してしまったりすると年収が下がってしまうため、養育費の増額請求を行うことができます。
2つ目としては、養育費を支払う側の年収が上がった場合です。
養育費を支払っている方の年収が上がれば、養育費の算定表による「養育費の金額」が変わってきます。
そのため、養育費を増額させる理由となるのですが、実際、離婚した相手の年収が上がったということを、離婚後に把握するということは難しくなっています。
3つ目としては、子供が進学したり、病気になってしまったりして、養育費が増加してしまった場合です。
例えば、もし子供が重い病気にかかってしまったとすると、そのための医療費が増加します。
また、子供が私立の学校等に進学した場合などは、その入学金等で多くのお金がかかります。
これらによって養育費が増加してしまった場合は、養育費の増額請求ができると考えられます。
ただ、子供が私立の学校等に進学した場合においては、養育費が増加するということは事前に予想できます。
そのため、そのような学校へ進学させたことへの追求を受けるということもありますので注意しましょう。
実際に、養育費の増額請求を行うには??
実際に、養育費の増額請求を行うには、まず、相手方と話し合いを行い、養育費の増額を依頼することとなります。
この時に相手方が了承すれば、養育費の増額は可能です。
ただ、話し合いで決めただけでは口約束となってしまい、実際に履行されない可能性がありますので、公正証書に残しておくということを忘れないようにしましょう。
次に、このような双方の話し合いで養育費の増額を決めることができなかった場合には、家庭裁判所に養育費の増額請求である養育費請求調停を申し出る必要があります。
この養育費請求調停では、実際の子供の監護において、何にいくらかかっているかなどを説明し、養育費が現状では足らないという状況を証明するようになります。
例えば、もし失業してしまったということであれば、失業保険の受給を受けている証明をすることが必要です。
そして、市役所で発行している収入証明書を提出し、年収が下がっているということを証明します。
また、病気になってしまったということであれば診断書などを提出します。
これらによって、今の生活がどれだけ苦しいかということを調停委員に上手く説明し、調停委員を味方につけて調停を進めることが、養育費増額請求を認めてもらうポイントとなります。
ただ、このような調停の場はあくまで双方の話し合いの場となっています。
そのため、養育費の増額は相手方が了承しない限り決まらず、その相手方が納得しなければ調停は不成立となります。
この調停不成立となった場合、養育費の増額はできないということになります。
もし、調停不成立となってしまったら、養育費の増額を行うには裁判や審判を行うしかありません。
この裁判や審判で養育費の増額を認められるには、失業や病気などの増額のための正当な理由が必要です。
逆に言えば、正当な理由さえあれば裁判や審判でも養育費の増額が認められる可能性があるということですので、そのような理由がある場合には諦めずに裁判や審判に移行してみるようにしましょう。
このように、養育費の増額を請求するには、相手方との交渉が非常に重要となりますが、離婚の経緯がある場合等は冷静な話し合いができないということもあると思います。
また、もともと交渉事が得意ではないという方もいると思いますので、そのような方は交渉のプロである弁護士に依頼することをお勧めします。